10月26日(日)新潟市西蒲区福井集落にある「福井旧庄屋佐藤家」にて、俳句結社「銀化」主宰中原道夫句碑建立20周年記念「とねりこ句会」が開催され、参加してきました。

中に入ると、囲炉裏の炭の香と、なにやらいいにおい♪ そう地元のお母ちゃんたちが、今日の祝賀会の準備をしてくれています。

▲祝賀会用の新米を炊く釜

▲大鍋で煮る のっぺときのこ汁
10時の集合後、11時の投句締切まで、そぼ降る雨の中、句材を探しに近くを散策する者、雨が降っているからいいわ、と歓談する者様々。
腹が減っては戦はできぬ、ということで句会が始まる前には、小昼(こびる)として新米の塩おむすびが。得も言われぬ美味しさに大満足。

▲小昼(こびる)の新米おむすびと漬物
11時半句会スタート、さぁ本番ということでお二人の祝辞に続き、中原主宰からご挨拶。

「西蒲原のこの辺りは穀倉地帯。学校の行き帰りは、右も左もただただ田んぼ。とねりこの木が、田んぼの縦にも横にもずーっと並んでいたのが原風景。
隣りの吉田町からは日本を代表する日本画家の横山操、東京オリンピックのポスターを制作した亀倉雄作などを輩出している。
こんな田んぼしかないところから、時々ぽこっとそういう人が出る。
それは土だと思う。地面が違う。土壌が育てていると。この佐藤家にある句碑建立から20年。日本に自分の句碑は6基あるが、生まれたところから一番近しいここに、へそがある気がしている。

▲句碑「山独活がいつぽん笊にあるけしき」
続いて句稿が配布され、152句の中から5句を選び披講へとうつります。

▲本日152句の句稿
以下、先生選の13句
赤まんまあの子ほしいと離れる手 敦子
鳴き砂の聞こえるところへと蜻蛉 未可
送れゆく道の安けく野菊晴 蒼穹
霧を行く目先の径を手繰るかに 中塚
無花果を丁寧に剥く雑に剥く 横川
藤袴咲けば多情の蘂を出し 一九路
とろとろと眠気のさしぬ炭の尉 考一
先の世も此処へ来たはず曼珠沙華 中塚
便所蟋蟀せめて厠というて欲し 正子
語らざる些細をくべて落葉焚 亮太朗
幕末の光ゆべしにオブラート まゆみ
盛は衰はじまるあかし泡立草 達也
中原主宰曰く「今日は恩赦のようなもの、大盤振る舞い!」
ということで、不肖木戸も珍しく先生の選を受け、色紙を頂戴しました。

▲色紙
句会後は、さて、こちらが本番!? のお楽しみの祝賀会。
地酒と手作りの郷土料理が振舞われるも、車を運転してきたゆえノンアルコール(涙)。

献立は、新潟名物のっぺ、煮魚(鯖)、胡麻豆腐、菊のお浸し、漬物、新米こしひかり枝豆ご飯、きのこ汁、無花果・柿。
いっぱい頭を使って、いい句に触れて豊かな土から生み出されたおいしいお料理をいただく至福。
少し肌寒い晩秋の新潟を、県外から来た方も堪能し、心もお腹も満たされた実り多き一日でした。
新潟の食も楽しめる句会、やっぱり楽しい!! (木戸敦子)