昨年、句文集『木守柿』を出版された新野白水さん。『木守柿』出版の経緯をお聞きしました。
コロナ禍で生活スタイルが大きく変わり、次第に人間関係が希薄化していくなか、 新野さんも「外出自粛」と墨書きしたものを部屋に貼り、見えないウイルスにおびえて暮らしていたといいます。
そんな折、前を向くためにも、何か一石を投じようと始めたのがインスタグラムを通じて交流の機会を得ること。 ご自身が以前描いたスケッチやお孫さんの絵画に、俳句を添えて掲載していきました。
それら、インスタグラムに掲載した500弱の一部をまとめたのが本作。
▲句文集『木守柿』
「子どもや門外漢の方にも楽しめる句集」がコンセプトゆえ、俳句、絵画や写真と小文が1ページにまとめられ どこから読んでも誰が読んでもつい微笑みをたたえるような、そんな1冊になっています。
以下、本書より。
書初や絵のやうであり字のやうな
▲お孫さんの書初めと白水さんの俳句とのコラボレーション
1月2日は書初め。当時、孫が書いたいたずら書きが、何とも言えない味わいだったので取って置いた。親ばかならぬ爺ばか。 絵のようで字のような前衛芸術張り? 芸術らしくするため、素人ながら孫の印を即興で篆刻。印を押したら少し格が上がったよう。
ほか4句
現世に三日とどまる春の雪
その声に聞き覚えあり四十雀
夕暮れて父母恋し木守柿
万物に天与のしづく寒の雨
タイトルの木守柿は故郷の庄内柿とのこと。文章にも絵にも、じわじわと沁みてくる滋味がある。
日常を細かにすくい取る優しいまなざし、ご家族への想い。どこを読んでも、あたたかな想いに満ち溢れている。
鉄鋼関係の会社で長年役員もされ、工場新設以後は千葉から栃木の小山まで3時間近くかけて通勤されていたとのこと。
お会いして、本から感じると同様の誠実さと朴訥さを感じました。 常に相手のことを考えるさりげない気遣いと、人を喜ばせようというスイッチが埋め込まれている感じ。
「人生は喜ばせごっこ」と朝のドラマで言っていたが、まさに新野さんがそう。 家族を基本として、人を大切にする器の大きさに魅了された。
▲上野にて
白水さんのインスタグラム↓ぜひご覧ください。
https://www.instagram.com/hakusuisan/